ストック・オプション制度は、会社が取締役や従業員等に対して、予め定められた価格(権利行使価格)で会社の株式を取得することのできる権利を与え、将来株価が上昇した場合にはその権利を行使して株式を取得し、取得した株式を売却することにより株価上昇分の報酬を得ることができる制度です。この制度の概要とポイントを解説します。
「新株予約権」とは、会社から予め定められた条件で、新株または会社が有する自己株式を取得することができる権利であり、通常購入すること(有償)で権利を得ます。ところが、「ストック・オプション制度」は「新株予約権」を無償で与える制度であり、平成9年に導入され数度の改正により整備されてきました。

「ストック・オプション制度」の概要をまとめると下表のようになります。
| 概念 | 新株予約権の無償発行 |
|---|---|
| 権利付与決議 | 株主総会の特別決議による |
| 付与対象者 | 会社法上制限なし【「税制適格:4ご参照」の場合は取締役・従業員等】 |
| 権利行使期間 | 会社法上制限なし【「税制適格:4ご参照」の場合は2年超10年以内】 |
| 付与株式数 | (発行可能株式総数−発行済株式総数)の範囲内 |
「ストック・オプション制度」は、つぎのような代表的な活用法があります。
| (1)インセンティブ | 従業員の参画意識が高まります。また会社業績の向上が株価の上昇として反映されるため、意欲や士気が高まります。 |
|---|---|
| (2)取引先との関係強化 | 取引先や社外の協力者に付与すれば、事業提携や共同研究等の関係強化に繋がります。 |
| (3)資金調達 | ベンチャーキャピタルや金融機関などに付与することにより、融資条件や金利等の交渉材料となります。 |
| (4)人材確保 | ベンチャー企業等で、高額の給与を支給できない場合に、給与に代えて、権利付与により優秀な社員確保が期待できます。 |
権利を費用として認識し、次のとおり仕訳をして、権利行使または失効まで純資産の部に「新株予約権」として計上しておきます。(費用の評価方法については専門家にご相談ください)
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権利行使の方法には、[1]新株を発行する場合と、[2]自社で保有している自己株式を交付する場合があり、それぞれ次のとおり仕訳を行います。


次のとおり、貸借対照表の純資産の部に「新株予約権」を計上し、その事業年度の増減は、株主資本等変動計算書に表示します。表示の方法は、その事業年度の増減の純額記載とするか、変動事由ごとに表示もしくは注記します。

税制非適格の場合、計上した株式報酬費は、権利行使時に一定の要件のもとで損金算入が認められますが、税制適格の場合は、当該費用の損金算入は認められません。
税制適格のストック・オプションを取得した個人への課税は売却時まで繰延べられ、株式を譲渡した時点で譲渡した価格と権利行使価格との差額に対してキャピタル・ゲイン課税が行われます。税制非適格の場合には権利行使時に給与所得等として所得税が課税され、さらに、譲渡したときにもキャピタル・ゲイン課税が行われます。なお、ストック・オプションが税制適格となるには、以下の6つの要件を全て満たしている必要があります。
6つの税制適格要件(概要)
権利を無償で取得したときに、時価で取得したものとして法人税法により受贈益課税を受けることとなります。(時価の算定方法については専門家にご相談ください)
(相談部 木本 泉)
[TAX AND LAW情報(2007年3月22日発行)より転載]
内容は執筆当時のままとなっておりますのでご了承ください。