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会社法における計算書類

1. 計算書類

計算書類とは会社法の規定により作成される外部報告用資料のことです。
商法上の計算書類のうち営業報告書は事業報告に名称が変更され計算書類の範囲より外されました。なお事業報告を事業報告書としても特に問題はありません。また附属明細書は「計算書類に係る附属明細書」と「事業報告に係る附属明細書」に分離されました。
利益処分案は制度上なくなり、株主資本等変動計算書が制定されました。さらに、従来、貸借対照表及び損益計算書の脚注としていた項目や、営業報告書、附属明細書に注記として記載していた項目をまとめて個別注記表として独立させました。

計算書類

(1) 事業報告

全ての会社共通の事項

事業報告の内容については全ての会社共通の事項として下記の二つが定められています。

  1. [1]会社の状況に関する重要な事項
  2. [2]内部統制システムについての決定または決議があるときは、その決定または決議の内容
記載事項の特則
  1. [3]公開会社(株式譲渡制限会社でない会社のことを言います。)の特則
    公開会社においては事業報告の内容について[1][2]に加え以下を記載する必要があります。
  2. [4]社外役員を設けた株式会社の特則
    公開会社において社外役員を設置した場合には、社外役員の兼務の状況や社外役員の報酬等の総額などについて記載することが必要です。
  3. [5]会計参与設置会社の特則
    会計参与と会社の間に責任限定契約を締結している場合は、その契約の内容の概要を記載することが必要です。
  4. [6]会計監査人設置会社の特則
    事業年度の末日において会計監査人を設置している場合は、会計監査人の報酬等の額や非監査業務(コンサルティングなどの監査以外の業務)の内容などについて記載することが必要です。
  5. [7]株式会社の支配に関する基本方針
    会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針(買収防衛策に関する基本方針)を定めている場合には、基本方針の内容などについて記載する必要があります。
株懇のモデル

事業報告の形式としては、多くの会社が従来の営業報告書と同様のものを作成すると思われますが、参考とするならば、全国株懇連合会において2006年8月29日公表した事業報告のモデルがあります。構成は下記のとおりです。

  1. 1.企業集団の現況に関する事項
    1. (1)事業の経過およびその成果
    2. (2)設備投資等の状況
    3. (3)資金調達の状況
    4. (4)対処すべき課題
    5. (5)財産および損益の状況の推移
    6. (6)重要な親会社および子会社の状況
    7. (7)主要な事業内容
    8. (8)主要な営業所および工場
    9. (9)従業員の状況
    10. (10)主要な借入先
  2. 2.会社の株式に関する事項
    1. (1)発行済株式の総数
    2. (2)株主数
    3. (3)大株主
    4. (4)その他株式に関する重要な事項
  3. 3.会社の新株予約権等に関する事項
    1. (1)当事業年度の末日における新株予約権の状況
    2. (2)当事業年度中に交付した新株予約権の状況
    3. (3)その他新株予約権等に関する重要な事項
  4. 4.会社役員に関する事項
    1. (1)取締役および監査役の氏名等
    2. (2)取締役および監査役の報酬等の額
    3. (3)社外役員に関する事項
  5. 5.会計監査人の状況
    1. (1)会計監査人の名称
    2. (2)責任限定契約の内容の概要
    3. (3)当事業年度に係る会計監査人の報酬等の額
    4. (4)非監査業務の内容
    5. (5)会計監査人の解任または不再任の決定の方針
  6. 6.会社の体制および方針
    1. (1)取締役の職務の執行が法令および定款に適合するための体制その他業務の適正を確保するための体制
    2. (2)株式会社の支配に関する基本方針
    3. (3)剰余金の配当等の決定に関する方針

なお詳細については、下記アドレスにて確認できます。
http://www.kabukon.net/pic/12_1.pdfPDF

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(2) 個別注記表

今回の会社計算規則では、注記に関して下記のように規定されました。なお、注記は独立した一表とする必要はなく、従来同様に脚注方式で記載することも可能です。

  1. [1]継続企業の前提に関する注記
  2. [2]重要な会計方針に係る事項に関する注記
  3. [3]貸借対照表等に関する注記
  4. [4]損益計算書に関する注記
  5. [5]株主資本等変動計算書に関する注記
  6. [6]税効果に関する注記
  7. [7]リースにより使用する固定資産に関する注記
  8. [8]関連当事者との取引に関する注記
  9. [9]1株当たりの情報に関する注記
  10. [10]重要な後発事象に関する注記
  11. [11]連結配当規制適用会社に関する注記
  12. [12]その他の注記

このうち、会計監査人設置会社以外の公開会社は[1]及び[11]を省略できます。また会計監査人設置会社以外の非公開会社は(株式譲渡制限会社)は[1]、[3]、[4]、[6]〜[11]を省略できます。従って[2][5]及び[12]については全ての会社が必要となります。

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2. 貸借対照表の変更内容

今般の会社法の改正に伴い、貸借対照表の「資本の部」は「純資産の部」に変更されました。また、表示内容も大きく見直されました。下記に「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」に記載された表示例を示します。

個別貸借対照表における表示例
会社法 旧商法
  1. I株主資本
    1. 1資本金
    2. 2新株式申込証拠金
    3. 3資本剰余金
      1. (1)資本準備金
      2. (2)その他資本剰余金 資本剰余金合計
    4. 4利益剰余金
      1. (1)利益準備金
      2. (2)その他利益剰余金
        • 任意積立金
        • 繰越利益剰余金 利益剰余金合計
    5. 5自己株式
    6. 6自己株式申込証拠金
  2. 株主資本合計
  3. II評価・換算差額等
    1. 1その他有価証券評価差額金
    2. 2繰延ヘッジ損益
    3. 3土地再評価差額金
  4. 評価・換算差額等合計
  5. III新株予約権
  6. 純資産合計
  1. I資本
  2. II資本剰余金
    1. 1資本準備金
    2. 2その他資本剰余金
  3. III利益剰余金
    1. 1利益準備金
    2. 2任意積立金
    3. 3当期未処分利益
  4. IV新株式申込証拠金
  5. V土地再評価差額金
  6. VI株式評価差額金
  7. VII自己株式申込証拠金
  8. VIII自己株式
  9. 資本合計

(1) 株主資本

資本金、新株式申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、自己株式申込証拠金に区分されます。
資本剰余金はさらに資本準備金、その他資本剰余金に区分されますが、その他資本剰余金の内訳(資本金および資本準備金減少差益、自己株式処分差益など)を必ずしも表示する必要はありません。利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金に区分されます。会社計算規則には明記されていませんが、会計基準においては、その他利益剰余金は任意積立金などとそれ以外の繰越利益剰余金に区分するとされています。

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(2) 評価・換算差額等

金融商品会計基準を適用した場合のその他有価証券を時価評価した結果発生する「その他有価証券評価差額金」、ヘッジ会計を適用した場合の「繰延ヘッジ損益」(従来は負債、または資産の部に計上)、土地再評価法を過去に適用した会社の「土地再評価差額金」が表示されます。

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(3) 新株予約権

従来は負債の部に計上されていましたが、会社法では純資産の部に表示します。

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3. 損益計算書の変更内容

損益計算書も表示内容が変わりました。従来、前期繰越利益の次に記載していた自己株式消却額、目的積立金の取崩額、中間配当額、減資による繰越損失填補額などは、すべて株主資本等変動計算書の記載項目となり、損益計算書は、当期純利益が最終科目となります。

個別損益計算書における表示例
会社法 旧商法
  • 売上高
  • 売上原価
    • 売上総利益(又は売上総損失)
  • 販売費及び一般管理費
    • 営業利益(又は営業損失)
  • 営業外収益
  • 営業外費用
    • 経常利益(又は経常損失)
  • 特別利益
    • 固定資産売却益
    • 前期損益修正益
  • 特別損失
    • 固定資産売却損
  • 減損損失
    • 前期損益修正損
      • 税引前当期純利益(又は税引前当期損失)
    • 法人税等
    • 法人税等調整額
      • 当期純利益
  • 経常損益の部
    • 営業損益の部
      • 営業収益
        • 売上高
      • 営業費用
        • 売上原価
        • 販売費及び一般管理費
      • 営業利益(又は営業損失)
  • 営業外損益の部
    • 営業外収益
    • 営業外費用
    • 経常利益(又は経常損失)
  • 特別損益の部
    • 特別利益
    • 特別損失
    • 税引前当期純利益(又は税引前当期純損失)
      • 法人税等
      • 法人税等調整額
    • 当期純利益(又は当期純損失)
      • 前期繰越利益(又は前期繰越損失)
      • 自己株式償却額
      • 目的積立金取崩額
      • 中間配当額
      • 減資による繰越損失填補額
    • 当期未処分利益(又は当期未処理損失)

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4. 利益処分案または損失処理案の廃止、株主資本等変動計算書の作成

利益処分案または損失処理案は制度上廃止されました。代わってその事業年度中の純資産の部の計数の増減を表す計算書類として新たに株主資本等変動計算書が制定されました。下記に「株主資本等変動計算書に関する会計基準等の適用指針」に記載された表示例を示します。適用指針には、このような横に並べる様式と、もう一つ縦に並べる様式の二種類が示されていますが、下記のような横に並べる方式が多いと思われます。
株主資本等変動計算書の表示区分は、貸借対照表の純資産の部の表示区分に従い、各項目の前期末、当期末の残高が貸借対照表の純資産の部の各項目の期末残高と一致します。
株主資本の各項目については、前期末残高、当期変動額、当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由(新株の発行、剰余金の配当、当期純利益、自己株式の処分など)ごとにその金額を表示します。株主資本以外の各項目についても、前期末残高、当期変動額、当期末残高に区分しますが、当期変動額は項目ごとの増減額を単純合計し、株主資本以外の項目の当期変動額の欄に純額で記載します。

利益処分案または損失処理案の廃止、株主資本等変動計算書の作成

株主資本等変動計算書の前期末残高の記載は、前期末の貸借対照表において該当する各項目の残高を記載します。会社法が施行されて初めて株主資本等変動計算書を作成する場合、「繰越利益剰余金」の前期末残高は「当期未処分利益(または当期未処理損失)」の残高を記載します。
なお前期の利益処分案に記載された利益配当、役員賞与の支給、任意積立金の計上などは、初めて作成される株主資本等変動計算書にその項目をそれぞれ当期変動額に記載します。またその他利益剰余金の変動については、例えば「平成○○年○月定時株主総会における利益処分項目」という項目を立てて包括的に記載し、内容を注記することも可能です。

(相談部 勝木幹雄)

[TAX AND LAW情報(2007年2月28日発行)より転載]

内容は執筆当時のままとなっておりますのでご了承ください。

  • *本ホームページの情報は、法律、会計、税務等の一般的なご説明をしたものです。個別具体的な法律上、会計上、税務上等の判断や対策などについては専門家(弁護士、公認会計士、税理士等)にご相談ください。

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