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相続税のしくみ

相続税は、財産を相続した者が、申告、納税します。今回は、相続税がどのように計算されるのか、相続税のしくみについて、フローチャートにまとめて解説いたします。計算例や、相続税の概算税額早見表等の資料も掲載しておりますので、併せてご活用ください。

(平成16年12月31日現在の法律にもとづいて説明しています。)

1.相続税の概要

相続税は、相続や遺贈によって得た財産にかかる税金です。

亡くなった方(被相続人)が持っていた遺産額から、債務や葬儀費用を控除した課税価格の合計額が、基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人数)以下の場合には申告納税義務はありません。
しかし、この金額を超えた場合には、原則、被相続人の住所地の所轄税務署に、相続の開始があったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に申告が必要です。

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2.相続税のかかる財産

(1)相続税は、原則として相続財産のすべてにかかります。

相続税の対象となる財産には、現金、有価証券、不動産などの有形のものから、借地権、貸付金等の債権、著作権などの無形の財産まで幅広く含まれます。つまり、相続税は亡くなった方が所有していた財産のすべてにかかります。

(2)相続税のかからない財産

墓所、仏壇、仏具などの財産、宗教、慈善、学術などの事業に使用される公益事業用財産、相続税の申告期限までに国などに贈与された相続財産、生命保険金や退職金のうちの一定金額等には相続税はかかりません。これを非課税財産といいます。

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3.相続税額算出の手順

(1)算出のフローチャート

相続税の計算は、下記のフローチャートの順番で行います。

算出のフローチャート

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(2)算出のフローチャートの説明(相続人が甲、乙、丙3人の場合)

[遺産総額]

甲、乙、丙の各相続人がもらった財産の総和を遺産総額と言います。相続税を計算する場合、民法では相続財産とされない生命保険や退職金なども、税法では相続財産とみなして(みなし相続財産)遺産総額に含めます。

[課税価格 A1〜A3]

各人(甲、乙、丙)の課税価格は、それぞれが取得した遺産額から、相続税のかからない財産、相続人が負担する被相続人の借入金や未払金などの負債、葬儀費用などを差し引いた額に、相続開始前3年以内の贈与財産と相続時精算課税制度による贈与財産額を加えて算出します。

[課税される遺産総額 C]

甲、乙、丙各人の課税価格の合計額を総遺産額と言い、総遺産額から次の算式により計算した基礎控除額を差し引いた金額が、課税される遺産総額となります。
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)=基礎控除額
(*法定相続人:法定相続人の数には相続放棄をした人を含みます。原則として普通養子は、実子がいないときは2人まで、実子がいるときは1人までしか法定相続人の数に算入できません。)

[相続税の総額 E]

課税される遺産総額を、相続人が民法に定める相続割合(法定相続分といいます。「6.資料」ご参照)に従って相続したものと仮定して、甲、乙、丙各相続人ごとの取得価格を算出します。算出した、各人の取得価格に相続税の税率を掛けて各人の相続税額を計算します。各人の相続税を合計したものが、相続税の総額です。

[甲〜丙の相続税額 F1〜F3]

相続税の総額を甲、乙、丙各人ごとに、それぞれが実際に相続した課税価格に応じて比例配分した金額が、それぞれの相続税額となります。

[甲〜丙の納税額]

一定の相続人について、相続税額の加算をし、配偶者の税額軽減、未成年者控除などの控除額を差し引いた残額が、実際に納める税額となります。

[申告、納税]

相続税の申告と納税については、相続の開始があったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から原則として10ヶ月以内に、亡くなった方の住所地の税務署に行うことになっています。

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4.事例による相続税の計算例

<設例>

平成16年10月に夫が亡くなりました。遺産総額は2億3,000万円、夫の債務は2,500万円、葬儀費用は500万円でした。法定相続人は妻、長男、次男で、各人が相続した遺産と負担した債務は、次のとおりとなりました。相続人が納める相続税額を計算します。なお、長男が取得した財産には生前に相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた財産(4,000万円)があります。贈与を受けた際に300万円の贈与税を納めています。(注 相続時精算課税制度の概要をご参照ください)

  長男 次男 合計
土地 7,000万円 - - 7,000万円
建物 3,000万円 - - 3,000万円
株式等 - 4,000万円 5,000万円 9,000万円
相続時精算課税制度に
係る贈与財産(注)
- 4,000万円 - 4,000万円
資産の合計 1億円 8,000万円 5,000万円 2億3,000万円
債務 - 2,500万円 - 2,500万円
葬儀費用 - 500万円 - 500万円
債務等の合計 - 3,000万円 - 3,000万円

[遺産総額]

7,000万円(土地)+3,000万円(建物)+9,000万円(株式等)+4,000万円(相続時精算課税制度に係る贈与財産)
=2億3,000万円

[各人が相続した遺産額]

妻 1億円(土地、建物)
長男 8,000万円(株式等および相続時精算課税制度に係る贈与財産)
次男 5,000万円(株式)

[課税価格]

妻 1億円
長男 8,000万円―2,500万円(債務)―500万円(葬儀費用)=5,000万円
次男 5,000万円

[課税される遺産総額]

妻 1億円+長男 5,000万円+次男 5,000万円 =2億円
基礎控除額:5,000万円+(1,000万円×3人)=8,000万円
2億円―8,000万円=1億2,000万円

[法定相続分に対応する税額]

法定相続分に応じた各人の相続額:
妻 1億2,000万円×1/2=6,000万円
長男 1億2,000万円×1/2×1/2=3,000万円
次男 1億2,000万円×1/2×1/2=3,000万円

各人の税額(「6.資料」:相続税の速算表をご参照ください)
妻:6,000万円×30%−700万円=1,100万円
長男:3,000万円×15%−50万円=400万円
次男:3,000万円×15%−50万円=400万円

[相続税の総額]

妻 1,100万円+長男 400万円+次男 400万円=1,900万円

[各人の納付税額]

各人の相続割合:
妻 1億円÷2億円(総遺産総額、以下同じ)=0.5
長男 5,000万円÷2億円=0.25
次男 5,000万円÷2億円=0.25

妻の納付税額:1,900万円×0.5−(1,900万円×1億円*/2億円)=0(納税額なし)

[配偶者の税額軽減]

*[1]2億円×0.5=1億円<1億6,000万円 ∴1億6,000万円
[2]配偶者が実際に相続した金額は、1億円 ∴[1]と[2]のうち少ない1億円

長男の納付税額:1,900万円×0.25=475万円
475万円−300万円(相続時精算課税制度により、生前贈与を受けた際に納めた贈与税)=175万円

次男の納付税額:1,900万円×0.25=475万円
よって納付税額の合計は長男175万円+次男475万円=650万円となります。

(注) 相続時精算課税制度の概要
親から子への贈与を対象として、特別控除額を超える贈与財産に対する贈与税を贈与時に納付しておき、その後その親の相続開始時に、その贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除した額をもって納付すべき相続税額とする制度です。平成15年1月1日の贈与から適用が開始され、贈与時の税額は、特別控除(非課税枠:2,500万円、ただし住宅資金贈与の場合は3,500万円)を超過した額に対して一律20%を乗じて計算します。
この制度の適用を受けるためには、65歳以上の親(住宅資金は年齢制限なし)から20歳以上の子(代襲相続人を含む)への贈与である(親子とも贈与した年の1月1日現在の年齢)等いくつかの条件があります。

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5.相続税の概算税額早見表

相続人が法定相続分で財産を取得し、配偶者の税額軽減を適用した場合における各人の納付税額の合計です。

(単位:万円)

遺産の
課税価格
配偶者および子 子だけ
子1人 子2人 子3人 1人 2人 3人
5千万円 0 0 0 0 0 0
7千万円 0 0 0 100 0 0
8千万円 50 0 0 250 100 0
(0)
9千万円 100 50 0 400 200 100
(0) (0)
1億円 175 100 50 600 350 200
(0) (0) (0)
2億円 1,250 950 813 3,900 2,500 1,800
(500) (380) (325)
  1. 注1( )内は配偶者の税額軽減をフルに活用するため、配偶者が1億6,000万円までを相続により取得し た場合の税額です。
  2. 注2相続人が配偶者のみの場合は、配偶者の税額軽減措置が100%受けられるため納付税額はありません。
  3. 注3上記表の灰色部分は納付税額がないことを表しています。

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6.資料(民法に定める相続割合、相続税の速算表、主な相続財産の評価方法)

民法に定める相続割合(相続分)
相続人 配偶者
(常に相続人)
子供*
(第1順位)
父母*
(第2順位)
兄弟姉妹*
(第3順位)
相続人構成
配偶者と子供 1/2 1/2 - -
配偶者と父母 2/3 - 1/3 -
配偶者と兄弟姉妹 3/4 - - 1/4
配偶者だけ 全部 - - -
子供だけ - 全部 - -
父母だけ - - 全部 -
兄弟姉妹だけ - - - 全部
  1. *は代襲相続人を含んでいます。配偶者・子供・父母・兄弟姉妹がいる場合の法定相続人は、配偶者(常に相続人、以下同じ)と子供(第一順位)が相続人となります。子供がいない場合には配偶者と父母(第二順位)が、父母がいない場合には配偶者と兄弟姉妹(第三順位)が相続人になります。
    法定相続人となる養子の制限
    法定相続人の数に算入できる養子の数は
    1. (1)実子がいる場合は1人
    2. (2)実子がいない場合は2人
    民法で定める特別養子や配偶者の連れ子で被相続人の養子になった人などは実子とみなされます。
相続税の速算表
法定相続分で分けた額(A) 税額(B) 控除額(C)
1,000万円以下の金額 10% 0万円
1,000万円超 3,000万円以下の金額 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下の金額 20% 200万円
5,000万円超 1億円以下の金額 30% 700万円
1億円超 3億円以下の金額 40% 1,700万円
3億円を超える金額 50% 4,700万円

(注)税額の求め方:(A)×(B)−(C)=税額

主な財産の評価方法
財産の種類 評価方法
土地 路線価のある土地
路線価方式:[路線価格±路線価の修正*1]×土地の面積
  • *1評価する土地の形状等により路線価を修正
路線価のない土地
倍率方式:固定資産税評価額×評価倍率*2
  • *2国税局長が地域毎に定める倍率
建物 固定資産税評価額×1.0
株式 上場
以下の価格のうち最も小さい金額
  1. (1)相続発生の日の終値
  2. (2)相続発生の日の属する月の毎日の終値の平均値
  3. (3)相続発生の日の属する月の前月の毎日の終値の平均値
  4. (4)相続発生の日の属する月の前々月の毎日の終値の平均値
非上場
同族株式:類似業種比準価額方式、純資産方式およびその併用方式
非同族株式:配当還元方式
預貯金 定期性のもの
相続発生時の預金額+[既経過利子−源泉徴収税額]

(相談部 木本 泉)

[相談室NEWS ワンポイント情報(2005年3月3日発行)より転載]

内容は執筆当時のままとなっておりますのでご了承ください。

  • *本ホームページの情報は、法律、会計、税務等の一般的なご説明をしたものです。個別具体的な法律上、会計上、税務上等の判断や対策などについては専門家(弁護士、公認会計士、税理士等)にご相談ください。
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